債務整理とは借金を減額や帳消しにしたり、返済期間を延長したりできる手続きのことです。
消費者金融などの貸金業者、銀行などの金融機関からお金を借りていて、どうしても返済できないときは債務整理を検討すると良いでしょう。
ただ、お金を借りている相手の中に、友人や親族などの個人がいるケースもありますよね。
そのような個人的な借金も債務整理できるのでしょうか?
この記事では、個人から借りているお金も債務整理の対象になるのかについてまとめました。
また、債務整理の方法もあわせて解説していくので参考にしてください。
もくじ
個人的な借金も債務整理できる?
結論からいってしまうと、個人的な借金も債務整理の対象になります。
債務整理は貸金業者や銀行が相手じゃなくても問題ありません。
銀行などからお金を借りられず、知人に頼み込んでお金を貸してもらっていたというケースもあるでしょう。
そのような個人間での借金も、債務整理をすることで減額したり、帳消しにしたりできるのです。
個人間での借金を債務整理する場合の注意点
債務整理の対象が個人の場合、いくつか注意すべきこともあります。
貸金業者や銀行だけが相手の場合にはなかったような注意点もあるので確認していきましょう。
個人からの借金の場合、債務整理をしても督促が止まらないことがある
弁護士などの専門家に債務整理を依頼すれば、金融機関からの督促をすぐに止めることができます。
弁護士が債務整理の依頼を受けると、債権者に対して受任通知という書類を発送します。
この書類を受け取った後は、弁護士が債務者側の窓口になるため、直接債務者に対して督促したり、連絡を取ったりはできなくなるのです。
しかし、このルールが適用されるのは消費者金融などで、個人は対象外とされています。
そのため、債務整理を弁護士などの専門家に依頼しても、個人からの督促までは止まらないケースもあると覚えておきましょう。
債務整理できても人間関係への影響は避けられない
債務整理は法律で認められている借金問題の解決方法ですが、個人間の借金を債務整理した場合、人間関係へ影響が出てしまうこともあるでしょう。
「法律で認められている方法だから相手も許してくれるだろう」と自分は思っても、やはり債務整理をしてしまうとこれまでの通りの人間関係とはいきません。
金融機関が相手なら淡々と手続きは進むでしょうが、お金を借りている相手が知人や親族なら、そのようなリスクもあることを理解してください。
個人間の借金でも高すぎる金利は無効
消費者金融や銀行からお金を借りているなら、しっかりと法律は守られているでしょう。
ですが、個人からの借金の場合、「法律で禁止されているような高金利だった!」なんてこともあるかもしれません。
利息制限法などの法律で金利の上限は決められていますが、個人からの借金だとしても高すぎる金利は無効で、法定利息を超えている分は返済する必要がないのです。
もし利息を取られているなら、債務整理をする際にその点もチェックしてみてください。
個人からの督促に困っている場合はどうすれば良い?
先ほどもいいましたが、相手が個人の場合は、債務整理をしても督促が止まらないこともあります。
中には、貸したお金が返ってこないと焦り、督促がエスカレートするようなケースもあるでしょう。
親族や知人からの督促だとないがしろにはできないと思います。
もし個人からの督促に困っているなら、そのことも債務整理を依頼している弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。
直接一対一でやりとりをすると事態が悪化する可能性があるので、一度、専門家である弁護士から説明をしてもらうことも冷静に話を聞いてもらうためには有効なのです。
個人間の借金問題も解決できる債務整理とは?その種類も解説

債務整理は手続きの総称で、主に次のような3つの方法に分類されます。
【債務整理の種類】
- 任意整理
- 自己破産
- 個人再生
自己破産は聞いたことのある人も多いと思いますが、実は債務整理の1つに過ぎず、他にも任意整理や個人再生といった方法があるのです。
どの方法も個人からの借金があっても問題ありません。
ですが、方法ごとに色々なメリット・デメリットがあるので、比較しながらあなたにぴったりの方法を見つけてください。
任意整理
任意整理は、債権者と話し合って利息のカット、元金の3年〜5年での分割返済を交渉する債務整理です。
多くの人が選択している債務整理で、他の方法に比べてデメリットが少ない点も特徴になります。
任意整理は交渉する債権者を選択できるため、お金を借りている個人と交渉することも、あえて手続きの対象から除外することも可能です。
例えば、消費者金融や銀行のカードローンだけを任意整理して、個人からの借り入れはそのまま返済を続けることもできます。
任意整理のメリット
任意整理のメリットは裁判所と通さない手続きなので、比較的スピーディに手続きできることです。
また、任意整理にかかる弁護士費用は、他の債務整理に比べて安くなっています。
自己破産や個人再生よりもデメリットといえる点が少なく、多くの人が選択している債務整理の方法なのです。
任意整理のデメリット
任意整理は利息をカットしてくれますが、元金そのものを大きく減額してはくれません。
大幅に減額される個人再生、借金が帳消しになる自己破産に比べると、その点はデメリットです。
そのため、元金自体の返済が厳しいケースでは、任意整理の効果は薄いでしょう。
自己破産
自己破産が裁判所に認められると、借金の返済義務が免除されます。
借金を返済する必要がなくなるので、返済能力がない人もできる債務整理です。
自己破産はすべての債務が対象になるため、個人からの借金も対象になります。
つまり、自己破産をすれば、個人から借りていたお金もいっさい返さなくて良くなるのです。
自己破産のメリット
繰り返しになりますが、自己破産のメリットは借金を帳消しにできることです。
任意整理や個人再生とは違い、返済の義務が完全になくなります。
他の債務整理ではどうにもならないときは、自己破産を検討すべきでしょう。
自己破産のデメリット
自己破産で借金の返済義務から解放されるためには、裁判所で「免責許可」を受ける必要があります。
免責許可は誰でも、簡単に貰えるものではなく、「本当に返済できる見込みはないのか」などが審議された後に許可、もしくは不許可が決まるのです。
加えて、「免責不許可事由」に該当するなら、自己破産を申し立てても免責許可は下りません。
例えば、特定の債権者のみを優遇して返済することを「偏頗弁済」(へんぱべんさい)と呼び、免責不許可事由の1つです。
「人間関係を壊したくないから、個人からの借金だけは返済してしまおう!」というのは偏頗弁済にあたるので注意しましょう。
また、自己破産をすると生活に必要な最低限のものを残して、他の財産は処分され、返済に充てられます。
自己破産をする場合、あまり資産を持っていないケースも多いですが、これもデメリットの1つになるでしょう。
個人再生
個人再生は債務の額に応じて、借金を大幅に減額できる債務整理です。
金額によって減額できる金額は違いますが、おおむね1/5程度まで減らすことができます。
自己破産と同様にすべての債務が対象になるため、個人再生をすれば個人から借りたお金も対象になります。
個人再生のメリット
個人再生は財産を処分することなく、借金を大幅に減額できるのがメリットです。
また、借入残高がある住宅ローンを手続きから除外する制度もあるので、ローンの残っている持ち家を手放すことなく、他の借金だけを減額することもできます。
個人再生は住宅のような失いたくない財産を持っている人向けの債務整理なのです。
個人再生のデメリット
個人再生の手続きは、任意整理や自己破産と比べても複雑で、時間と費用がかかる点はデメリットです。
個人再生は裁判で再生計画案を認めてもらう必要があり、手続きのハードルが高めだといえるでしょう。
それに、住宅ローンを対象から外した場合、借入残高が多いであろう住宅ローンの返済はそのまま継続することになります。
減額後の借金は3年〜5年で完済しなければならず、見込みがなければ計画案は認可されず、認められても途中で返済が滞ると個人再生は失敗です。
個人再生を考えている人は、弁護士などの専門家とよく相談した上で判断してください。
個人間でのお金のトラブルで債務整理をしても支払い義務が残るケース
任意整理については個人からの借金を対象とするかどうか選択でき、自己破産や個人再生は個人からの借金も含めて債務整理が進んでいきます。
いずれの債務整理の方法でも個人間での借金を減らしたり、返済義務を免除してもらったりが可能です。
ただし、借金以外の養育費、もしくは交通事故や離婚による慰謝料などは債務整理をしても支払いの義務が残ります。
もし個人間でこのようなお金のトラブルを抱えているなら、債務整理で解決できるものなのかを弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
個人間の借金も債務整理できる!方法に迷ったら弁護士に相談しよう!
債務整理とは何か、個人からの借金も対象にできるのかについて説明してきました。
個人からの借金であっても債務整理で解決できますが、どの方法を選ぶかによってメリット、デメリットは様々です。
そのため、どの債務整理が良いのか迷ったら、借金問題に強い弁護士に相談しましょう。
借金や家計の状況から適切なアドバイスを貰えるはずです。